ファッションのこと、暮しのこと

40代からでも似合うプチプラファッションや、暮らしのことを綴っていきます

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大林宣彦監督と尾道と私

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日本映画界の巨匠、大林宣彦監督と同じ尾道市出身…

ということが私の自慢であり、誇りです。

 

監督と同じように故郷の尾道が大好きです。

映画「あの、夏の日」のロケ地でもある千光寺のポンポン岩

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特にここから望む尾道水道は美しく、多くの観光客に愛されています。

毎年 初詣に訪れては、うっとりと眺めています。

 

 

"後悔のない人生はない"

とよく言いますが、私の人生にもいくつかありまして…。

 

そのうちの一つがこちら

映画「ふたり」に関すること。

 

ちょうど高校生の時に撮影された「ふたり」

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私が高校生の時に地元尾道を舞台に撮影された「ふたり」。

当時地元の現役女子高生のエキストラが大々的に募集されていました。

 

クラスメートのほとんどの子がオーディションを受ける中 私は何故か受ける気になれず…。

 

本当は受けたかったんです。ただ気恥ずかしかったのか、斜に構えてしまい、オーディションを受けなかった私はもちろん撮影に参加することもなく終わってしまいました。

 

そんな私をよそに映画のエンドロールにはエキストラに参加した同級生の名前がズラリ。

 

こればかりは本当に後悔しかありません。

 

大好きな大林監督とも会えずじまいで。

 

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映画「転校生」の石段

 

 

それから25年ほど経ったある日。

 

現在は熊本に住んでいる私。

その時まだ小学一年生だった娘のモデルの仕事のオーディションで福岡まで一緒に行った時のこと。

 

オーディションにて、娘が全く受け答えができず、私から見てもやる気がないのが分かるほど。

 

オーディションが終わって、地下鉄天神駅のホームにて

夕方の混み合っている時間帯にも関わらず、娘を叱ってしまいました。

 

熊本から福岡まで来るだけでも大変なのに、学校や弟の幼稚園を早退して来ているのに、その態度は何だ。みたいな事をつらつらと。

 

ほどなくして電車が来て博多駅に着いた時、さすがにさっきは言い過ぎたかなと思い、ふと目に留まった「サンマルクカフェ」のショーウィンドウに美味しそうなパフェが。

いつもなら素通りするところでしたが、

「食べて帰る?」と私。

「え、いいの?」と驚く娘。

息子と3人でサンマルクカフェに立ち寄ってすぐに目に映ったのが、

 

そう。私のお慕いする巨匠

大林宣彦監督がそこに!

 

その時、瞬時に

今 話しかけないと一生後悔する!

25年前と同じ後悔をしたくない。

 

「あの…大林監督ですよね?

私、監督と同じ尾道出身なんです!」と、気がついたら話かけていて、握手までしていただきました。

 

プライベートの貴重な時間にもかかわらず、監督のお優しかったこと。

あのいつもの私の大好きな笑顔、一生忘れません。

 

「新・尾道三部作」ロケ地イラストマップより

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こちらのロケ地イラストマップは尾道の観光案内所で手入ります。

このマップに大林監督からの素敵なメッセージがあるので紹介させてください。

 

”この地図を持って尾道の町を歩けば、あなたは必ずや迷子になるだろう。

けれども恐れることはない。それはあなた自身の、少年の、あるいは少女の心に迷いこんだだけなのだから。

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見まわしてごらん。あなたはそこで、きっと何かしら 大切なものを‥あなたがいつか、どこかで無くした愛おしいものを‥見つけることができるでしょう。

それが尾道の旅。あなた自身の旅。

さあ。勇気を持って、迷いこんでみようよ。尾道へ!!” 

                                                               大林宣彦

 

このメッセージを読んで、これがまさに監督が伝えたかったことじゃないかな?

と、僭越ながら思いました。

監督の作品にはどことなくノスタルジックな情景が感じられます。

少女の頃に感じたような、不思議な懐かしさへいざなわれる。

 

尾道は本当にそんな町です。

ふと細い道を曲がるとそこはもう別の場所であり、引き返そうとしても道がわからない。

でも、そこに広がる景色はいつかどこかで見た景色。懐かしい景色。忘れていたあの頃の思い出が蘇ってくる。

 

そんな素敵な町なんです。

 

久しぶりに監督の映画が見たくなりました。

 

心よりご冥福をお祈りいたします。